なぜ加湿?

前回のコラムでは、生活面でのインフルエンザ対策として「加湿」が大事という内容をお伝えしました。

多くの方は、加湿と聞けば「加湿器(加湿機)が必要だな」とお考えかと思います。もちろん大抵はそれで間違いはありません。でも実際に加湿器を選ぼうとした時、どんな加湿器を選べばよいのか迷われたことはありませんか?世の中にはいろんな種類(そしていろんな「方式」)の加湿器が存在します。もちろん、部屋の広さに見合った加湿力、衛生的なメンテナンスのし易さ、消費電力、見た目といった基本的な選ぶための基準が大事ですので、それさえ押さえておけば加湿器選びを間違えることはほぼないでしょう。ですが、賢い加湿器の使い方をマスターするために、「なぜ加湿器が必要か」といった根本的な話も押さえておきたいと思います。

加湿の必要性を考える時に忘れてはならないのが、温度と湿度の関係です。湿度(厳密には相対湿度)とは簡単にいうと空気に含まれる水分の割合を表す単位といえます。そしてその湿度は空気の温度によら、空気に含まれる水分を「割合(%)」で表す湿度は空気中の水分の量が同じであれば、低い温度の空気に比べて、高い温度の空気の方が低くなります。例えば、10℃・50%の空気と24℃・20%の空気に含まれる水分の量はほぼ同じなのです(詳しくはこちらをご参照下さい)。

ここで気をつけて頂きたいことは湿度が高くても室温が低ければ要注意ということ。上記の温湿度の例でエアコンの様に水分補給をしない暖房を使えば、室温を快適な温度に上げる(10℃→24℃)と湿度は逆に下がって(50%→20%)しまうのです。だからこそ暖房を使う冬季には空気に水分を補給する加湿器が必要となってくるのです。

暖房を上手に使って、加湿器マスター!

賢く加湿器を使うには、この温度と湿度の関係を理解しておくことはとても大切なことです。よく「冬は空気が乾燥する」といいますが、これは冬の空気(外気)は低温となるので、元々空気中に蓄えられる水分量自体が少なくなってしまうために起きる現象です。この少ない水分しか持たない空気に加湿器を使って水分を供給することになるのですが、これまでの内容でご理解して頂いた通り、温度が高くなるほど湿度を上げるためにたくさんの水分を供給する必要が生じてしまいます。

そこでエアコンをはじめとする暖房機器の運転を調整し、多少でも温度が低めになるように暖房すれば、加湿器を使った水分の供給量も減らして適切な湿度(50~60%)を保つことが可能になります。エアコンや加湿器の電力消費を減らしたり加湿器の給水量(や回数)を減らすこともできますから、省エネにも繋がりますね。

もちろんインフルエンザ対策として加湿器を利用する場合は、前回のコラムの通り、室温を20℃以上に保っておくことが大事ですから、上記の「賢い加湿器(と暖房機器)の使い方」にも限界がありますが、過度に加湿器に頼ることなく、上手く暖房機器と併用してインフルエンザ対策のための”上手な”加湿器利用をマスターして頂ければと思います。