結露って何?

今回のコラムでは、加湿をするうえで気をつけたい「結露対策」についてお伝えします。

外気の温度が下がる冬場に室内を加湿しているとたびたび起きるのが、窓の内側にびっしりと水滴が現れ濡れてしまう現象です。これがよく言われている「結露」という現象です。
なぜ結露が起きるの?という疑問の答えは前回の加湿コラム『賢い加湿器利用の基礎知識』を読んで頂ければご理解頂けると思いますが、一言でいうと、「窓に触れている空気から水があふれてくるため」です。

空気に含まれる水分の割合(いわゆる湿度〇%)は空気の温度で変わりますが、実際に含まれている水の量そのものは変わりません。因みに空気の温度が低いほど含むことができる水の量は少なくなります。なので、外気によって冷やされた窓に加湿された室内の空気が触れると、その空気は冷やされ、含むことができる水の量が少なくなり、もともと含んでいた水がその限界を超えてあふれ出てきます。これが「結露」と言われ現象の正体です。

「表面結露」を防ぎましょう

上で紹介した結露は専門的には「表面結露」と呼ばれるもので、窓ガラスの他にも、壁・床・天井などの「表面」に水滴が発生してしまう現象のことを指します。
よく見る窓ガラスの表面に発生した「表面結露」は、水滴の発生が「見て」わかりますから、都度、雑巾などで拭取ってしまえば大きな実害はないといえるかもしれません。

実は意外と気が付かないのが、壁など窓以外に発生する表面結露。例えば、普段目につかない押し入れの中やクローゼットの隅などにも表面結露が発生することがあります。こういった場合の結露は、うっすらと水滴がにじむ程度であることも多いのですが、その水滴が乾燥することなく、いつまでも溜まったままになっているとカビの発生を招いてしまうことが多々あります。

これら窓以外の表面結露やそれによって起きるカビの発生を防ぐには、過度な加湿をしないこと、そして部屋の空気を適度に循環させる「換気」をしっかり行っておくことです。加湿器を使うときは出来るだけ湿度を40~60%程度に保つように気をつけましょう(ウイルス対策にもなりますね!)。あまり開け閉めしない押し入れには除湿剤を置いたり、クローゼットはこまめに開け閉めして空気を頻繁に入れ替えるようにしましょう。

怖いのは「内部結露」

実は、「表面結露」の他に、専門的に「内部結露」と呼ばれる結露があります。これは、壁・天井・床などの文字通り“内部”で発生する結露のことを指します。
特に建物の外壁は、コンクリート・断熱材・下地・仕上げ材(石膏ボードなど)といった複数の素材で構成されていますので、素材と素材の間で極端な温度差や水分の通り易さ(透湿性)の違いがある場合はその素材と素材の間に触れている空気の水分があふれ出し、水滴となって素材を濡らしてしまう、まさに「壁の中」で発生する内部結露が起きる危険があります。

内部結露の場合は、壁の中という、ある程度遮断された空気の中の水分が発生源ですから、表面結露ほど大量の水滴が発生するわけではありません。ですから、ある程度結露が生じても、そのうちまた蒸発してしまい実害が起きることは稀ですが、場合によっては長期間、徐々に水滴が溜まってカビが発生し、壁の中の断熱材やボード類を腐食させてしまうという被害が起きることもあります。

この内部結露は、壁の中で発生しますから、普段はその存在に気づくことができず、実害に至った時には外壁の補修といった大損害につながる危険がある厄介な現象です。この内部結露を防ぐには、素材選びをはじめとするしっかりとした外壁の設計が基本ですし、専門的な知識がないと中々完全に防ぐことが難しい問題です。普段の生活でこの内部結露による実害を受けないようにするには、やはり加湿のしすぎを避けて、しっかりと換気による空気の入れ替えを行っておくことが何より大事です。

この冬は、賢い加湿と換気で、ウイルスといっしょに結露もやっつけましょう!